映画「ザ・マジックアワー」
三谷幸喜の一連の作品には、一貫したテーマがある。
それは「ウソ」だ。
小さなウソが、次第に大きくなっていく。その過程が実に緻密に出来ている。そのためには舞台を限定する必要がある。「ラヂオの時間」のスタジオ、「みんなの家」のマイホーム、「THE有頂天ホテル」のホテル。そして本作品における守加護という町、という具合だ。
守加護…これ、何て読むと思います? スカゴ。何となく訛ってる感じ。ちなみに作品中の標識ではローマ字表記で「SUCAGO」となってます。いかにも安っぽいネーミング。登場人物名のほうも、どうも怪しげなカタカナ名だなぁと思っていたら、ちゃんと漢字が当てられていました。
実は、構成の緻密さとネーミングの怪しげなミスマッチから、すでに三谷監督の演出の罠は始まっているのである。いかにも筋の見えてきそうな設定と人物配置。しかし、意外性のたっぷり詰まった登場人物たちの動きは、観る者の予測をことごとく打ち壊していく。それこそが、三谷幸喜監督の真骨頂。
ラストの対決場面は、ストーリー的に破綻してるのではとも思えるんだけど、いや、まさか三谷さんに限ってそんなことはないでしょう。ちゃんと筋道をつけているはず。これはしっかり観ていない僕が悪いんだ。そうに違いない、と思わせてしまう怪作でした。
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コメント
さすが、すぐに観てますね。
私は、最近全く劇場には行ってないです。
三谷作品は大ヒットしますね。
今回は、りゅうはく堂さんのコメントを参考に、観てみたいと思います。
投稿: みろく | 2008年6月11日 (水) 17時24分
僕も映画はひさしぶりでした
このサイトを立ち上げてから初めてです。今年の3月ごろまではだいたい月2本は観ていたのですが…。
予告編などを観ていると、またまた見に行きたくなってきましたね
投稿: りゅうはく堂店主 | 2008年6月11日 (水) 22時19分