プロフィール・カード
私の授業の決まりごととして「プロフィール・カード」というのがある。市販のB6サイズの厚紙で出来た情報カードだ。
初回の授業で、これに生徒のデータを自分自身で記入させていく。名前やクラスは当然のことであるが、似顔絵やさらに「私を表す七つの言葉」「3字のあなた」「40字のわたし」など、ちょっと聞いただけでは、何のことやらわからない事がらを記入させていくのである。そして裏面には、毎時間ごとに「今日学んだこと・感想」などを記入するための表を作らせる。
「このカードは一年間かけて完成させていくからね」
というのが、私の口癖だ。だから、授業中に気晴らしを兼ねて、ふと似顔絵に色を塗ったりすることも「あり」なのである。しかし、そういう生徒に限って、最初に似顔絵を書きなさいと指示した時には、「絵に自信がありません」などと尻込みをしていたケースが多い。そこが、人間のおもしろいところだ。
生徒もだんだんそのカードに愛着を抱いてくるし、私自身も、授業を重ねるごとにそのカードの成長が楽しみとなる。そして何より、生徒各人の裏面のコメントが、私の次の授業プラン作成の指針となってくれるのだ。
「難しかったけれど、楽しかった」
という意味のコメントは、最大の賛辞だと思っている。
そう、難しいだけではつまらないし、もちろん、楽しいだけでは学びにはならない。普段使わない筋肉を使った時の快い疲労感。頭の使い方においても、そんな快い疲労感があってよいはずである。
もう一つ、このカードの使い方のポイントを紹介しておこう。それは、毎回授業に入る前にこのカードを生徒に返却するのだが、私は直接本人に返さない。トランプのようにシャッフルしてから列ごとに配るのだ。つまり、生徒は他人のカード手にすることになる。そして、そのカードを読ませる。そうすることで、他人の表現の仕方を学ばせる。また前回の学習のポイントを、他人がどう感じているかを知る手がかりとさせる。
私はビシネス・マナーの指導者でもある。だから、そのカードを名刺のように扱わせる。
「では今から、みなさんが手にしているカードを持ち主へお返ししましょう」
という合図で、一斉に教室内で少し大きめの名刺交換が行われる。
「○○様でいらっしゃいますね。これをお返しいたします」
「ありがとうございます。ちょうだいいたします」
という具合。
授業は体を動かすことから入る、これが私のやり方だ。
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コメント
私もそんな授業受けてみたいです。
投稿: shoko | 2008年6月25日 (水) 17時32分
「先生の授業は、いつも予測がつきません」という感想もありました。
これも、ほめ言葉だと思っています
投稿: りゅうはく堂店主 | 2008年6月25日 (水) 21時27分