なぜ、カップ麺のふたをはずさないのか?
カップ麺は、悲しい。
あの容器が、悲しい。
どんぶりに似て非なるところが、とても悲しい。
精一杯、本物のどんぶりのふりをしている。そこに、私は深い悲しみを感じるのだ。スナック麺なのに、一人前の食事として虚勢を張っている。
私は、スナック麺を本来の食事として考えていない。それを本来の一食として済ます人間にもなりたくない。
どんなに落ちぶれたとしてもだ。
だから、カップのふたは全部はずさない。
はずしたとたんに、それを本来の一食とする自分自身と対峙することになる。同時にスナック麺に「俺はれっきとした一食なのだ」という間違った認識を与えてしまう。
スナック麺のふたを全部取り去り、きちんとたたんでから、立ちのぼる湯気に目を細め、小ぜわしく割りばしを取り上げ、あろうことかそれを両の親指にはさみつつ合掌などしているところを他人に目撃などされたら…、考えただけで、私はいたたまれぬ。
ゆえに、今夜も私はカップ麺のふたをベラベラさせながら、発泡スチロールの容器に顔をうずめるのだ。
| 固定リンク
「エッセイ」カテゴリの記事
- 蕎麦と矛盾(2009.12.31)
- 決着はお白州で(2009.01.09)
- リーガルのウイングチップ(2008.11.05)
- なぜ、カップ麺のふたをはずさないのか?(2008.09.10)
- カメラマンに必要なもの(2008.05.14)
コメント
お久しぶりです。
りゅうはく堂さんのblogはおもしろいです。
ほんのささいなものから、すごい文章が展開される・・・・小さい頃から、こういった授業に会いたかったです。今からでも遅くない、私は、このblogの生徒なんです。
私もふたをくっつけたまま頂く派です。一応主婦なので、家にはストックなんか、していないぞと・・・・見える場所には置いてません。小さなプライド!
合掌といえば、春にたまたま知人に連れられて、D大学の学食に行きました。そこで、新入生らしき男子学生が、私の斜め前で、合掌してから、ランチを食べ始めた光景を思い出しました。何とも素晴らしい感動ものでした。
投稿: みろく | 2008年9月12日 (金) 09時18分
(○`・ェ・)ノ【こ】【ん】【に】【ち】【ゎ】お久しぶり。
みなさん、カップ麺の食べ方にはそれぞれこだわりを持っているようですね。作り方は簡単なのに、その食べ方は奥が深い…。
いっそのこと「カップ麺道」なんていう、食作法が生まれてもいいかもしれない。
「当流派では、ふたをすべてはがし、しかる後にその裏面を上にして四方を折り曲げ、それを受け皿として利用しながらいただくのです。これにより、当流派は裏面家と称しております」…なーんてね。
投稿: りゅうはく堂店主 | 2008年9月12日 (金) 23時17分
りゅうさま
おニューのテンプレート素敵ですね。
投稿: shoko | 2008年9月13日 (土) 13時25分
なかなか鮮やかな色合いで、いいでしょう?
これからは月ごとに替えていくのもいいかなと思っているところです。ヾ(´ε`*)ゝ
投稿: りゅうはく堂店主 | 2008年9月13日 (土) 21時23分
こんちは、先生のカップ麺のたべかたのこだわり
面白かったです。
○の素、コ○ビ○弁当と並ぶ日本の食卓への
3大インベーダーですね、カップ麺は。。
それを水際で防ぐ、先生の処方はさすがというしかありません。
カップ麺が悪いのじゃない、カップ麺に似合う
あなたが悪いんだ。。と言う人もいますがね。。w
投稿: ウナヤンケ | 2013年1月 5日 (土) 15時39分
おひさしぶりです。
この年末のCMで「カップ麺で年越しを」というのが何社かありましたが、あれを実際にやっている人なんか見たことねぇぞとツッコミを入れておりました。
しかし、神戸でのカウントダウン・ライブの際に実際に目撃。それが、実にうまそうに感じましたなぁ。
くやしい…。
投稿: りゅうはく堂店主 | 2013年1月 6日 (日) 23時00分
おはようございます。
神戸で思い出しましたが、震災の折、カップ麺をすする被災者の方々を見て、カップ麺を世に送り出して本当によかった。。と創業者がしみじみ語っておられましたね。
私の今のささやかな楽しみは、早朝、軽く汗を流した後の熱い紅茶と一片のビスケット。。
深夜までパーティやなんたらで、飽食ににふける資本家のブタ共には絶対に理解できまい。。と自虐しております。。w
投稿: ウナヤンケ | 2013年1月 9日 (水) 06時23分
ささやかな楽しみと言えば、私の場合はHAMAYAのコーヒーでしょうか。
「店飲み」は京都のイノダか、大阪の丸福なんですが、「家飲み」となるとやはりHAMAYAにとどめをさしますね。
これに、ミックスナッツがあればご機嫌なんです。
ウナヤンケさんのような禅味はありませんが…。
投稿: りゅうはく堂店主 | 2013年1月 9日 (水) 23時40分