映画「ハッピーフライト」
かつてのハリウッド映画で「大空港」というのがあった。
ハリウッド映画が脂ぎったステーキなら、日本映画はお茶漬けだ、と言われたことがあった。良くも悪くも、あっさり味ということらしい。
この作品は、その「大空港」のお茶漬け版と言えるだろう。もちろん、良い意味だ。
日本映画のユーモアのセンスは、確実に変化してきている。深刻であるべき場面にユーモアをちりばめる。このタイミングが実によい。ゆとりすら感じる。無理をしていない。それが本当の日本映画の「お茶漬けの味」だ。
かつては、ハリウッド映画の真似をして洒落たセリフを無理に押し込んでいた時代があった。悲しいかな、そしてそれが実に気恥ずかしかった。「ステーキ茶漬け」なる珍品を差し出されたような気になったものだ。
今は違う。実に自然にそれを受取ることができる。俳優たちの顔立ちが欧米化してきたのも一因か。いや、日本人一人ひとりの人間関係の濃度が薄くなってきたからではないだろうか。逆にそれだけ、言葉によるストレートな表現が現実問題として必要とされてきているからではないかと思う。
この映画は、批評家からすると評判がよくないと思う。
「人間が描かれていない」
などと、言うにちがいない。
大きな間違いだ。そんな連中がどれだけ日本映画をつまらなくしてきたか。
映画を楽しむのは批評家ではない。私達観客なのである。
日本映画にとっては、よい時代に入ってきた。
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