映画「真夏のオリオン」
潜水艦映画にハズレなし、という言葉があるそうだ。
確かに密閉された空間の中で繰り広げられるドラマには、戦争映画に限らずサスペンスに富む作品が多い。
その一方で、戦後の邦画における戦争映画は、その性格上どうしても悲劇という形をとる傾向があるようだ。それは、それでいい。もっとも僕個人としては、岡本喜八監督の「独立愚連隊」シリーズなどという快作の方を好むけれど。
さて、この「真夏のオリオン」。見終わった後のさわやかさが前評判であった。
さわやかさは、ある。サスペンスも、ある。シナリオもセリフもいい。
だが、しかし。なのだ。
僕は映画を観たその日のうちに、手近にある潜水艦映画のDVDを2本観直した。「眼下の敵」と「Uボート最後の決断」である。
それを観て、やっと安心した。というのが正直な感想である。
そうなのだ、闘う男たちの顔つきが違うのだ。年輪の違い、とでも言おうか。
どう考えても、「真夏のオリオン」に出てくる男たちは、現代の青年がそのまんま演じているという感がぬぐえない。
「もったいない」という艦長のセリフ。重く、いい言葉なんだけどなぁ。渡辺謙や役所広司あたりが言ってくれると、観てるこっちも納得するのに。
もっともこの配役、製作側に従来の戦争映画の殻を打ち破りたいという考えがあってのこととは推察できるけれども…
それにしても、「もったいない」のである。
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