「半分だけ作文」
大阪国際滝井高校での授業ネタをしばらく書いていなかったので、ここで一つ。
今回のオリンピックで論議を呼んだ例の腰パン問題について、「半分だけ作文」というのをやってみた。ねらいは、意見の内容そのものの是非ではなく、論述の仕方をみるためである。
「半分だけ作文」というのは、特製の300字詰め原稿用紙の半分だけ、つまり150字で、与えられたテーマについてコメントを述べるというもの。
私の担当する1年生クラス32名に対して書かせたところ、以下のように意見が分かれた。
・渦中の選手の言動を是認しない生徒 25人
・同選手の言動を擁護する生徒 5人
・どちらとも言えないとする生徒 2人
もとよりこの時間で、私がいわゆる「おりこうさんの作文」などを求めたりしていないことは、すでに承知の彼女たちである。であるにもかかわらず、このような結果になったのには少なからず驚いた。
是認しない立場の理由の主なものには、「国の代表である」「日の丸を背負っている」「日本人として恥ずかしい」という言葉が並んだ。仮に個人としてのファッションとしては認めたとしても、それを公の場に持ち込むことについてはいかがなものかという批判が多数を占めた。
擁護する立場では、前述の個人としてのファッションであるという論調もあったが、それよりも既成概念を打ち破っていく姿、集団の中の異質を恐れない姿勢、そこに共感をおぼえたという内容も見られた。
どちらとも言えないという立場では、単純に事の是非とかファッションなどという尺度ではとらえられないというものがあった。少数派であるが、正直な意見かもしれない。
書いた後に、私が全員の文章を読んで聞かせた。やはり、自分の主張とは反対の立場の意見も織り交ぜつつ報道のしかたにも批判の目を向けた、よい意味でのバランス感覚を持った文章には、自然と生徒の集中力が高まっていた。
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