平成22年度 学校法人永井学園 鹿島学園高等学校奈良キャンパス 入学式 学校長式辞
「間違うことは、正しい」
新入生の皆さん、入学おめでとう。
保護者の皆様、本日はお子様のご入学、まことにおめでとうございます。
さて、入学にあたり新入生の皆さんには、「間違えることの、正しさ」について話をしたいと思います。
こう言うと、皆さんは「あれっ?」と首をかしげることでしょう。間違えることが正しいとはどういうことだろう…ってね。正しくないから間違えてるということじゃないのかと、戸惑うはずです。
ですが、間違えることは、確かに正しい答えを見つけることの最も着実な方法と言えます。なぜなら、いくつかの選択肢を前にして迷ったときに、間違った選択をしたことで、この次からはこの選択肢は選ばないでおこうという知恵が生まれてくるからです。少なくとも「これと同じパターンの選択肢はヤバイぞ」と直感することができますよね。
これを、広い意味での「学習」とか「経験」と言うのです。
そして、これらを通して次から正しい選択肢を絞り込むことができるのです。
人間の文明もこの繰り返しによって発達してきたと言ってよいでしょう。
話は変わりますが、今、坂本龍馬がブームですね。
私も司馬遼太郎の「竜馬がゆく」を読み進めています。読書というのは面白いもので、読んでいるうちに「この本は、まさに私のために書かれた本だ」なんていう気になってきます。
ちょうどヒーロー物の主人公と自分自身を、重ね合わせて見てしまう子どものようなものです。
もちろん、司馬遼太郎さんも私のために「竜馬がゆく」を書いたわけじゃない。でも、そういう誤解をできるところが読書の楽しみの一つだと思うのです。そう、「俺も竜馬のように生きてやろう」というふうにね。
「大いなる誤解は、生きるエネルギーとなる」
私は、そう考えます。
この二つから、私は皆さんに何が言いたいのか、分かりますか?
それは、最初から間違うことを恐れるなということ。
大いに誤解してエネルギーに換えれば、それはそれで君にとって正しい選択・解釈に向かっているのだということです。
「悟ったようなことを言う人は、あきまへんなぁ」
と、先ほどの司馬遼太郎さんは、あるインタビューで答えたそうです。はじめから正しい答えを探すことに汲汲として、結局何もできないことの愚かさを皮肉った言葉と、私はとらえています。
新入生の皆さん、どうか、間違いや失敗、誤解を恐れないでください。そこにこそ、みなさんの成長があるのです。
そこに、誇りを感じてください。
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