予告の功罪
先日、インフルエンザの予防接種を受けてきた。
久しぶりの注射なので、少し緊張する。
「ちょっと、チクリとしますよぉ」
と、看護師さんが言いながら、僕の腕に針を入れる。
その時、妙な気がした。
「チクリとする」というのは、あたりまえのことではないか。それも「ちょっと」というレベルではない。注射をすればけっこう痛いというのは、幼稚園の子供でもわかる。
それなのに、なぜそのように言うのだろう。
そういえば、この言葉は他の病院でもよく聞くようになった。僕の認識に誤りがなければ、ここ十数年の傾向ではなかろうか。昔はいちいちこんなことも言わなかった。
僕にとっては、この言葉があることによりかえって恐怖が増したような気がする。
「ああ、今から注射針が僕の皮膚を突き破るのだな」
という具合だ。そのイメージが僕の頭の中で大写しにされてしまう。
今から宿題をしようとしたときに、親から「宿題はちゃんとすませたの?」と言われたような感覚もある。
大きなお世話だ。
先方は、当人に痛みをあらかじめ宣告しておくことで、僕の苦痛を和らげようという意図があるのだろうが、かえってマイナスのような気がする。
歯医者で、「痛かったら、手を挙げてください」と言われるのも、いやだ。必ずその直後に何やら苦痛をともなうことが始まるのだという、前触れのようなものである。
予告されてうれしいのは、映画ぐらいのものか。
しかし、考えて見ればこの予防接種も、僕の身体にとっては、一種の予告のようなものだ。
どうも、話がややこしい。
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コメント
高山さんのブログおもしろいです\(☆o☆)/
投稿: ★ | 2010年11月28日 (日) 00時40分
高山さんのブログ
毎日読んでます(^-^)☆
投稿: (^-^) | 2010年11月28日 (日) 00時44分
★さん、(^-^)さん、(○`・ェ・)ノ【こ】【ん】【に】【ち】【ゎ】
コメントありがとうございます。これからもゆっくりと更新していきたいと思いますので、どうぞよろしくお付き合いください。
投稿: りゅうはく堂店主 | 2010年11月28日 (日) 17時48分