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みかんの食べ方

みかんを食べるとき、皆さんはどうしていますか?

皮をむいて、内部において球形に集結している袋を一つずつ切り離して、親指と人差し指とを、こう、袋のへこんだところに当てて口中に含み、唇をすぼめて中の果汁をしぼり出してから、袋の残骸を引っ張り出す…というようなことをしている方がほとんどではないでしょうか?

いや、拙者の場合は皮もむかずにそのまま丸ごと口の中に放り込むのでござる。なんていう剛の者は、あまり見聞したことはありませんな。

僕の場合は、とりあえずみかんを皮ごと三つに割ります。
あっ、そのときに大切なのは、右手の親指で割るのですが、指を入れるのはみかんのお尻のほう、つまり、みかんを置くときに下になるほうですね。それを上にして、そこから割っていきます。もちろん、本来の頭(このときは下になっていますが…ややこしいなぁ)の部分は割り切ってしまうのではなく、少し残しておきます。ちょうど地球で言うと、南極大陸ぐらいの割合でしょうか。

そして、ここからまたちょっと説明が必要なのですが、今度はその開かれた地球の内側に指を入れて、南極大陸の裏側からいくつかの袋のかたまりを下からはがし取っていくのです。
この感覚、分かります?
すると、下からはがれるときに各袋の表面にある白い筋も自然と皮の内側に残って、何だかとても達成感を感じますね。
そして、その数袋を一口でほお張り、一気に果汁を楽しむ…てなことをやっているわけであります。

ですから僕の場合、みかんを食べるスピードはとても早い。もちろん、袋の皮は出しません。そのまま呑み込んでしまいます。

子供の頃、親からチューインガムの食べ方を特訓させられました。

僕はいったん口の中に入れたものを、出すことがどうしてもできなかったのです。チューインガムを食べて、いざ包み紙に吐き出そうとすると、どうしても僕の意志とは反対に、舌はガムを喉の奥へ奥へと押しやっていくのです。そして、最後には呑み込んでしまう。
両親が両脇から「呑み込んだらダメだ、早く吐き出しなさいっ」と包み紙を口の前に突き出すですが、やっぱりどうしても呑み込んでしまうのです。
何度やっても、結果は同じ。

両親に責められながらおやつの食べ方の特訓を受けたという経験を持っているのは、僕ぐらいのものではないでしょうか。

さすがに、今はガムを吐き出すこともできるようにはなりましたが、一度口にしたものを吐き出すという行為には、やはり抵抗が残っています。

先ほどのみかんの食べ方も、袋を出す出さないという逡巡を少しでも避けるために、やむを得ずあみ出した戦法と言えるのかもしれません。

ものの食べ方には、その人間の生い立ちが表れるものなのでしょう。

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