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荒野の大掃除

大掃除を手早く済ませる人と、じっくりと時間をかけてやる人がいる。

わが家はどちらかというと、手早くするタイプが多い。
二人の息子は躊躇なく物を捨てられる方だから、話が早い。僕もきれい好きだから、一日もあれば十分だ。
かみさんは、…うむむ、これは根っからの掃除嫌いときているから、もう比較にはならないね。

それでも、物をあちこち引きずり出して分別していると、時間のかかってしまうこともある。

学生時代に書いた小説のようなもの、山歩きのときに使った地図、失くしたと思っていた万年筆…など。

ま、これはいいでしょう。

ところが、昨日はいけなかった。
何がいけないかというと、モデルガンが出てきたのである。コルト・シングルアクション・アーミーっていうやつ。
そう、西部劇によく出てくる代物、って思ってくださればよろしい。
こいつが出てきたのには、ちょっと驚いた。すっかり忘れてたけど、手に持つとズンッとくる嬉しい重さ。

そうそう、これこれ。この重さなんだよなぁ。

れんこん状の弾倉を回すと、昔ながらの冷たい音がする。撃鉄に親指を這わせてみる。
そして、振り向きざまに素早く腕を伸ばして、照準を合わす。
ちょっと決めてから、薄笑いを浮かべつつ、
「命拾いしたな」
なぁんて、軽く銃を回す。

「そういえば、ホルスターが確かあったはずだが」

そうこうしているうちに、ゴミの山に立つ保安官が生まれてしまった。

父親が早打ちの練習をしているところに、2人の息子たちがやってきた。
どうやら、口真似で発砲音の効果を出していたのを、何かの騒ぎだと勘違いしたらしい。
「なっ、何してんのん?」

これだから、大掃除は油断ならない。
手早く済ませるか、かみさんのように最初からやらないと決めこむか、どっちかだ。

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