Yorichan's Bar

捨てる年、捨てぬ年

年末、大みそかが近づくと、とたんに僕たち夫婦の仲は、険悪となる。

理由は簡単、大掃除で、家の中にある物を「捨てる、捨てない」で、ちょっとした、いや、かなり深刻な言い争いになるからだ。
毎年、必ずそうなる。

特に今月は、地デジTVに買い替えるので、当家の狭い居間のガラクタをどう始末するかで、かなり前から家庭内には不穏な空気が流れていた。

話はもどるが、何事もどんどん捨てるというのが、僕の流儀。
かみさんは、何でもとっておくというのが、習性。いや…それならまだいいが、一度使ったものを元の場所にもどすことができないという、ま、そのう、主婦として致命的な面がある(こんなことを書くと、きっとかみさんの友達から、多数の書き込みがあって、このブログも炎上するかもしれないが…しかし、真実は伝えねばならぬ)

そのくせ、かみさんは新しいテレビを搬入するとき、家電スタッフに家の惨状を見られるのは、この上なく恥ずかしいらしい。
ここが、わからん。

ただ、ありがたいことに、このピンチを救ってくれた御仁がいらっしゃる。かみさんの友人のまゆりんさんだ。彼女の整理整頓能力は卓越している。彼女の能力の恩恵にあずかったのは、一度や二度ではない。
どうりで、テレビ搬入の朝、「私一人で何とかなるから、遊びに行っていいよ」などと殊勝な態度で僕を送り出したのは、実はこのまゆりんさんの存在があったからなのだと、後になって気付いた。

すっかり片付いた居間に、新しいテレビ。狭い部屋なのに、床に何も転がっていないことによって、無限の広がりを感じる。
「もう、二度とあのような過ちを繰り返してはならない…」
2人の息子を前にして、あたかも戦後日本言論界の論客がごとき言葉が、思わず出てきてしまったのである。

まゆりんさんには、この場をお借りして心よりお礼を述べたい。
おかげさまにて、われら夫婦は特にいさかいもなく、さらにこれから2人して神戸のジャズクラブへカウントライブを聴きにいくことになっております。

読者の皆様、この一年ごひいきの程ありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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正体判明

「犯人は必ず現場に戻る」と言うが、果たして昨日の事件の真犯人が分かった。
やはり、かみさんの関係だった。

かみさんのパート仲間だそうで、菜園で冬瓜が10個もとれたらしい。で、その一つをおすそ分け、ということになった次第。
それを、当人が今日またゴーヤをぶら下げてきたところで事情聴取、そして一挙に真相が明らかになったのである。

悪いこともできないが、いいこともできませんなぁ(よく意味がわからないけど…)

いや、お心遣いに深く感謝申し上げ、この場を借りて御礼申し上げます。

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謎の物体

昨夜、帰宅したら玄関の前に砲弾のようなものが転がっていた。
家の者はすべて外出していたので、僕が最初に帰宅したことになる。当然、灯りは消えており、薄暗いところに白々としたそれが身を横たえていたのである。
僕は思わず、後ずさりしてしまった。
とにかく物騒な世の中。
恐る恐るつま先で突いてみると、ゴロンとゆれながらも元の位置に戻ってくる。今度は手を伸ばして触ってみた。
…と、指先に痛みを感じて慌てて手を引っ込める。そいつは産毛のようなもので覆われていた。しかも、その産毛の先端がかなり鋭いのだ。

かみさんが帰宅してきたところで、一緒に運び入れる。
明るいところであらためて見たのが、下の写真である(上方に並べているのは新品の鉛筆)
どうやら、農作物のようだが、何だろう?
そして、誰が置いていったものなのか?
「こんなん、どうせお前の友だちか誰かが持ち込んで来たんとちゃうか?」
「せやろか…、こんなん作ってる人、ウチの友だちにもいいひんで」
夫婦が頭を寄せ合って、謎の物体を見おろした。

おいおい、誰だぁ? こんなもの置いていったのは。少なくとも置き手紙を添えるか、こやつのどてっ腹にマジックで何か書いといてくれ。
不気味じゃないか。

心当たりのある人、すぐに連絡ください。
たぶん、かみさんの関係だと思う。いや、絶対にそうだ。

そして、こいつをどう処置したらいいのか、教えてください。

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本日開店

「お声をかけてよいのかどうか、迷っておりました」
と受講生の保護者から切り出されたことがあった。
妻を同伴してのパーティーの席上のことである。つまり、僕とかみさんとはどうみても夫婦には見えないらしい。
つまり、その、何と言うか、僕たち二人が世間をはばかるような間柄に見えるらしいのである。
「高山先生の奥様というと、こう、割烹着がお似合になる楚々としたイメージがございましたものですから…」
とも、よく言われる。そして、そのあとに続ける言葉に困っている方を何度も見てきた。

そうなのである。一口で言うならば、かみさんは、ケバイのである。

文筆家として「ケバイ」などという俗語をつかうのはいかがなものかと思うが、文筆家であるがゆえに、かみさんを端的に表す言葉として、この語を選ばざるをない僕の心中を察していただきたい。

ただ、このアンチ割烹着、めっぽう社交性がある。パーティーでも人の輪がいつの間にか僕からかみさんに移っていくのだ。
ここが、悔しい。
確かに光は、彼女に向って照らされている。ケバイのはメイクのせいではなく、人様からの「ご好意」という光の反射なるが故かもしれない。

それが証拠に、かみさんを知る周囲からは「いただき物だけではなくて、奥様のコーナーも作られてはいかがですか」と、盛んに勧められる。

「このような奥様がいらっしゃると、高山先生のご家庭ではいつも笑顔が絶えないのではございませんか?」
ありがたいお言葉である。
確かにその通りだが、しゃくだから、僕はこんなとき次のように答えるようにしている。
「なぁに、フーテンの寅さんと同じですよ」
先方が、怪訝な表情を見せると、こう続ける。
「観客として観ている分には、確かに楽しい人だなぁ、こんな人が近くにいてくれたら、毎日どんなに楽しくすごせるだろう。…なんて思いますよね。でも、本当に寅さんが我が家に住みついたとしたら、その家庭は、大変なんですよ。ホントに」

それを証明するために、かみさんのコーナー「Yorichan's Bar」を、本日ここに開店する。

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